アシジロヒラフシアリ その2


岐阜県以外のアリ

カタアリ亜科

ヒラフシアリ属

日本にはヒラフシアリとアシジロヒラフシアリの2種が知られています。

アシジロヒラフシアリ( Technomyrmex brunneus ):九州南部から南西諸島に分布し、マングローブ林では優占種です。

働きアリが数百万を超える巨大なコロニーを形成します。また、関東地方の植物園(温室内)で発見されたことがあります。

今回は,2020年11月和歌山県潮岬で採取したコロニーの一部から出現した無翅オスを中心に紹介します。


写真①:中央に無翅オス、周りは働きアリ。12.VI.2021

写真②:持ち帰った幼虫の中から無翅オス(中央)が蛹化。8.XI.2020

写真③:無翅オス(矢印)は働きアリより一回り小さく、頭頂に3個の単眼を持ち、腹端に交尾器が裸出している。12.VI.2021

写真④:羽化した無翅オスは、時折働きアリから噛みつきなどの攻撃を受ける。23.V.2021

写真⑤:働きアリに触角を引っ張られる無翅オス。5.XII.2020

写真⑥:無翅オスは巣内を動きまわり、無翅の職蟻型女王と思われる個体に触角を激しく打ち付ける。23.V.2021

写真⑦:その後、無翅オスは職蟻型女王と交尾に至る。23.V.2021

写真⑧:11月に採取した巣をそのまま暖房の入った室内で飼育を続けたところ、翌年3月に小判型の大型幼虫が出現した。28.III.2021

写真⑨:大型幼虫に栄養卵を与えようとする働きアリ。4.IV.2021

写真⑩:大型幼虫から有翅女王が3頭蛹化したが、有翅オスは1頭も出現しなかった。 5.V.2021

写真⑪:有翅女王の羽化(中央右)。中央左に有翅女王の蛹、矢印は無翅オス(腹端に交尾器が認められる)の蛹。7.V.2021

写真⑫:体が色づいた有翅女王。羽化後、巣外を忙しく動きまわることもあったが20日後3頭ともに死んだ。その間無翅オスは有翅女王には無関心。23.V.2021

写真⑬:3個の単眼をもつ職蟻型女王。このように明らかな単眼をもつ個体から痕跡的単眼をもつ個体まで変異がある。1.V.2021

写真⑭:アシジロヒラフシアリは栄養卵のみで幼虫を育てる。働きアリは腹端から分泌した栄養卵の小滴を幼虫の口元に置く。小滴はすぐに幼虫に吸い取られるが、口元に残ったものは働きアリによってきれいになめとられる。7.III.2021

写真⑮:この小滴は働きアリなども利用する。26.XI.2020

写真⑯:働きアリ間に見られる尻曲げ行動。匂い物質でも出しているんだろうか? 1.XII.2020

岐阜のアリ

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