キアシアリガタバチ ( Laelius yamatonis )
乾物や毛織物などの害虫として有名なヒメマルカツオブシムシの幼虫に産卵します。我が家では、毎年夏になるとヒメマルカツオブシムシと共にキアシアリガタバチも発生します。厄介なのは就寝中にこのアリガタバチに刺されることです。刺されると2週間ほど痛みと痒みが続きます。
そこで、飼育してこのアリガタバチの生態を調べてみることにしました。
なお、この観察は2023年7月下旬から9月上旬に岐阜市の自宅で行いました。
写真①:キアシアリガタバチの老熟幼虫3頭。初めて見た時は非常にインパクトがあった。
写真②:ヒメマルカツオブシムシの背に乗るキアシアリガタバチのメス。
写真③:両者が出会って数秒後、キアシの腹部がヒメマルの首元付近を探って毒針を刺し動きを止めた。
写真④-1:ヒメマルは敵が近づくと腹端の槍状毛(そうじょうもう)を広げて静止する。アリはこの槍状毛が付着するのをとても嫌がる。
写真④-2:槍状毛に近づくキアシ。ただ、キアシには槍状毛ほとんど付着しない。
写真④-3:槍状毛は抜けやすいためどんどん抜いていく。
写真④-4:抜き取った槍状毛を気にすることもなく全て抜き取る。
写真④-5:槍状毛はきれいに抜き取られる(上)。
写真⑤:次に産卵する腹部裏面の毛をていねいに抜き取っていく。
写真⑥:次に体の向きを変えて産卵態勢にはいる。毛を抜き取りスベスベにした場所に卵を産みつけてゆく。
写真⑦:1回の産卵は1~4卵である。
写真⑧:左は腹部の毛が抜き取られ産卵されている状態。右は正常の腹部裏面。
写真⑨-1:数日後、卵がふ化する。
写真⑨-2:幼虫の成長は早い。
写真⑩:キアシの幼虫は次第にヒメマル幼虫の体内部に食い込んでいく。
写真⑪:キアシ幼虫の頭部が完全にヒメマルの幼虫体内に食い込まれる。
写真⑫:十分に成長した幼虫はヒメマルから離れる。
写真⑬:ヒメマルから離脱したキアシは、すぐに糸を吐き繭を作り始める。
写真⑭:作り始めたばかり繭。まだ、内部が透けて見える。
写真⑮:完成した繭。上部には寄生されたヒメマル幼虫の殻がある。キアシが食い込んだ穴が3か所見えるが、幼虫内部には何もない。3個の繭のうち矢印を付けた繭はオス、ほかの繭からはメスが羽化してきた。
写真⑯:繭内部の前蛹。
写真⑰:メスの蛹化。
写真⑱:複眼が色づいてきた。
写真⑲:まず、胸の後ろ半分が黒く色づいた。
写真⑳:翌日、胸部全体が黒く色づいた。
写真㉑:胸部だけが黒く色づいた蛹。
写真㉒:体全体が黒化し、羽化が近づいた蛹。
写真㉓:羽化が開始し、表面の薄皮を脱ぎ始める。
写真㉔:無事に脱皮し、翅を伸ばしきったメス。
写真㉕:オス。上の繭にはこのオスの脱出孔が見られる。
写真㉖:交尾はメスとオスが出会ってすぐ、交尾時間は2分程度だった。
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