クロクビレハリアリ その2

サスライアリ亜科

クロクビレハリアリ属

クロクビレハリアリ( Lioponera daikoku ):本州、九州、奄美大島、沖縄島で確認されていますが、採集例は少なく稀な種です。樹上の枯れ枝内に営巣し、樹上性のアリの巣を襲い、それらの幼虫や蛹をエサとしていると考えられています。体長:3mm。

2016年12月初旬、静岡県伊豆半島南部で採取したクロクビレハリアリを自宅に持ち帰り室温で飼育を試みました。その際に観察された「巣移動」や「採餌活動」について紹介します。


写真①:採集してきたクロクビレハリアリの飼育容器に、巣になりそうな中空の細い枯れ枝を入れたところ、巣の移動が観察されました。写真のように運ぶ相手の首を下から大顎でくわえ、引きずるように運んでいく。

写真②:新しい巣を発見したときに、写真のように腹部を持ち上げ、後脚をこすり合わせる行動をとります。どうも仲間にその場所を教えるための道しるべフェロモンを分泌しているようです。

写真③:最初は腹部だけを持ち上げているように見えたが、必ず後脚をこすり合わせる。

写真④:その後、巣の仲間を抱えて運び始める。自分と同じ大きさの有翅虫を運ぶ脱翅女王アリ。

写真⑤:オスアリを新しい巣に運び込む働きアリ。

写真⑥:クロクビレハリアリのエサは他の樹上性アリの幼虫との情報を得ていたので、種類の異なるアリの幼虫を与えてみた。その結果、テラニシシリアゲアリクボミシリアゲアリの幼虫によく集まってきた。

写真⑦:エサ場を教えるときにも腹部を持ち上げ、後脚をこする行動が見られる。

写真⑧:最初にエサを発見した個体が巣に帰るとすぐに他の個体もやって来ます。エサ場に来た個体は多くの場合まずは空腹を満たす。

写真⑨:エサのアリ幼虫を抱えるように持ち、大顎で噛み体液を吸い取る。

写真⑩:エサ場にやって来た脱翅女王アリ。働きアリだけでなく脱翅女王や有翅女王アリも巣外に出てくる。

写真⑪:エサ場にやって来た有翅女王アリ。

写真⑫:空腹が満たされると、エサとなるアリ幼虫を一気に運び始める。

写真⑬:アリ幼虫を巣に運ぼうとする働きアリ。

写真⑭:アリ幼虫を巣内に運び込む有翅女王アリ。エサ運びは有翅女王や脱翅女王も参加する。このアリでは女王アリもよく働く。

写真⑮:エサのアリ幼虫を運ぶ有翅女王アリ。

写真⑯:エサのアリ幼虫を運ぶ有翅女王アリと巣内からそれを手伝う脱翅女王アリ。 野外では他のアリの巣を襲い、その幼虫や蛹を奪い取ってエサにしているものと思われる。コヌカアリの働きアリと幼虫を巣ごと飼育容器に入れたところ、コヌカアリの成虫はほとんどが殺された。  

岐阜のアリ

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