キノムラヤドリムネボソアリ その2

フタフシアリ亜科
ムネボソアリ属
日本には16種が知られており、岐阜県では8種確認されています。


キノムラヤドリムネボソアリ( Temnothorax kinomurai ):岐阜県内では岐阜市、関市、美濃加茂市で生息が確認されています。岐阜県外では愛知県と三重県で生息を確認しています。このアリには働きアリとオスアリが存在せず、女王アリがハヤシムネボソアリの巣に社会寄生します。また、女王アリには有翅と無翅の2タイプが出現し、無翅女王は歩いて、有翅女王は飛行により周囲に分散していきます。体長:2.5~3mm。

今回は、キノムラヤドリムネボソアリによるハヤシムネボソアリの巣乗っ取り行動を紹介します。


写真①:キノムラヤドリムネボソアリ(以後キノムラヤドリ)を巣外に排除しようとするハヤシムネボソアリ(以後ハヤシ)。関市 飼育 2023.VI

写真②:6月、ハヤシには有翅虫が出現する。この巣には有翅メスと交尾後の脱翅メスがみられる。関市 飼育 2023.VI

写真③:6月初旬、ハヤシの巣で女王アリがおらず、ハタラキアリと蛹(女王アリ)のみの不自然な巣が観察された。関市 飼育 2023.VI

写真④:③の巣の蛹が色づき始めた。関市 飼育 2023.VI

写真⑤:③の巣からオレンジ色が美しいキノムラヤドリが羽化し始めた。関市 飼育  2023.VI

写真⑥:この巣からキノムラヤドリの女王アリが9頭羽化した。9頭の女王アリのうち有翅が7頭、無翅が2頭だった。関市 飼育 2023.VI

写真⑦:中央が翅のない女王アリ。関市 飼育 2023.VI

写真⑧:羽化後1週間ほどで巣外を徘徊する女王が現れ始めたため、女王1頭ずつをハヤシの巣に入れた。キノムラヤドリのハヤシとのファーストコンタクト。関市 飼育 2023.VI

写真⑨:ハヤシとの初めての出会いから5分後脱翅する。関市 飼育 2023.VI   

写真⑩:脱翅後、女王はハヤシの巣に侵入を試みる。その際、ハタラキアリの中には異常を感じる個体もいる。関市 飼育 2023.VI

写真⑪:異常を感じたハタラキアリにより威嚇を受けるキノムラヤドリ。関市 飼育 2023.VI

写真⑫:キノムラヤドリによるハヤシに対するなだめ行動。関市 飼育 2023.VI

写真⑬:ハヤシにかみつかれるキノムラヤドリ。関市 飼育 2023.VI

写真⑭:大あごにかみつかれるキノムラヤドリ。関市 飼育 2023.VI

写真⑮:ハヤシのハタラキアリにより巣外に運び出される。関市 飼育 2023.VI

写真⑯:ハヤシの反撃が強いと最終的にお互いが毒針をつかった攻撃になる。関市 飼育2023.V

写真⑰:この巣では侵入時に12頭のハタラキアリが殺された。関市 飼育 2023.VI

写真⑱:侵入時、ハヤシの女王アリ(矢印)はキノムラヤドリに対し全く無関心。関市 飼育 2023.VI

写真⑲:この巣ではハヤシによる強い反撃を受けたキノムラヤドリは最終的に殺された。関市 飼育 2023.VI

写真⑳:別の巣ではハヤシのハタラキアリをほとんど殺すことなく、乗っ取りに成功することもあった。なぜ、激しく抵抗する巣とそうでない巣が存在するのだろうか?不思議である。 関市 飼育 2023.VI

岐阜のアリ

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